年始事始?(作:うー!さん)

太郎は優美の家に年始にやってきた。
中学生や高校生になると面倒くさがって、親戚宅へ挨拶に行くなど嫌がるものだが、
この時期はお年玉という大きなメリットがあるため、太郎もホクホクしながら優美の家にやってきたのだ。
それに優美とも何ヶ月か会っていなかったので、久しぶりに会ってみたいという気持ちもあった。
太郎がドアを開け、
「今日はぁ、太郎ですー。あけましておめでとうございますーっ」
と大きな声で言うと、ちょうど優美が出かけるところだったらしく、
「たろにい、あけましておめでとー。でも今、誰もいないよー。あたしも今から出かけるとこなの」
と言いながら出てきた。優美はスポーツバッグを持って、トレーニングウェア姿だった。数ヶ月ぶりの優美を見て太郎は仰天した。
「ゆ、優美、お、お前またでかくなってないか?!」
太郎が目を丸くして叫ぶと、
「えへへ、わかる? たろにいったら全然優美に会いに来てくれないんだもん。だから次に会うときにたろにいをびっくりさせようと思って一生懸命鍛えたのよーっ。優美、筋肉がついたら背も伸びるみたいなの」
そう言って優美は太郎のすぐ横に立った。
この間会ったときにはすでに150cmの太郎よりも10cmは背が高かった優美だったが、さらに身長が伸びたらしく、太郎は視線をだいぶ上げなくてはならなかった。
それ以上にものすごいのが筋肉だ!
前回再開したときも優美の変貌ぶりに腰を抜かすほど驚いたが、今回もそれに劣らず驚かされた。桁外れの筋量を誇る優美はさらに二周り以上はバルクアップし、ウェアの上からでもさらに巨大化した筋肉の束が見て取れた。
太郎は、
「今どのくらいになったんだ?! この間は確か、身長が160cmで体重が130kgくらいだったよな?」
と半ば呆れながら尋ねた。
「うーんとね、身長が170cmちょっとで体重は150kgを超えちゃった」
太郎は眩暈を催した。15歳の太郎よりも20cm以上背が高く、体重にいたっては4倍近い。いやもうすでに4倍を超えているかもしれない。横に並ぶと太郎の頭が優美のあごに届く程度で、実に優美の頭ひとつ分、差ができてしまった。
すると優美は太郎に増えた筋肉を示そうと両腕を上げて腕をぐいと曲げ力瘤を盛り上げた。たちまち優美の上腕は目の前で見ている太郎の頭よりも大きく盛り上がり、ぐんぐん膨らんでいく。筋肉がもこもこと湧き出るように力瘤は大きくなってウェアの袖を引き伸ばしていった。優美の力瘤は太郎の頭頂を超え、太郎の頭は優美の力瘤に隠れてしまい、さらに肩までも隠されてしまうほどだった。
「す、すごい……」
トレーニングウェアを着込んでいるのに、ウェアの上に浮かびあがる筋肉の塊。中学3年(高校1年?)の太郎が小学4年生の女の子である優美の顔を筋肉の塊の向こうに見上げなくてはいけないのだ。とにかく並外れの筋量のために実際の身長差よりも優美は背が高く見えた。
優美は驚いて何も言えなくなっている太郎に気をよくして、
「ね、たろにい! 優美、これからトレーニングセンターに行くの。たろにいも一緒に行こっ! ボディビル用のスーツを借りて着るから優美の筋肉、見てよ」
優美は楽しそうにそう言って、まだ呆然としている太郎を軽々と担いでトレーニングセンターへと急いだ。
「こんにちはー。あけましておめでとーっ!」
優美は大きな声で挨拶しながらジムの扉を開いた。ジムには男の人が一人、トレーニング器具の手入れをしていた。優美の声に気がついて振り返り、
「おっ、優美か。おめでとう。早速着たな。今年一番乗りだ」
と立ち上がって言った。男はまだ若く、このジムのトレーナーらしい。
「あっ、オーナー、あけましておめでとー。私が一番ってほんと?」
優美はオーナーの方を振り返った。
「ああ、さすがに年明け早々から来るのは少ないだろうな」
広いジムの中はオーナー以外まだ誰もおらず、閑散としていた。
「じゃ、あたし着替えてくるね」
優美は太郎にそう言って女子更衣室へと入っていった。
程なくして、優美はボディビル用のスーツを身につけて出てきた。まだ小学四年生だというのに、優美の体は隆々たる筋肉の塊ではち切れそうだ。太郎が前に見たときよりも明らかにそして遥かに筋量が増しており、巨大化していた。
「どうお、たろにい。優美、おっきく逞しくなったでしょ?」
優美は体にぐっと力を込めた。ただでさえ、有り余る筋肉が盛り上がる優美の肉体は力を込めるとさらに大きく膨れてミシミシと軋んだ。太郎のちょうど目の前には片方でも太郎の頭を超えるほどの大胸筋―バストというよりは大胸筋だ―がお互いに擦れてギシギシいっている。太郎は目を皿のように見開いてあんぐりと口をあけたまま、優美を見上げた。
優美は呆然としている太郎を見下ろしてしてやったりと笑った。優美は人が自分の体を見て驚くのが大好きなのだ。
「ねえ、たろにい、これ」
優美は太郎に白い布を渡した。太郎が受け取って広げてみると、それは馬鹿でかいTシャツだった。
「うわっ、なんだこりゃっ?! でっかいTシャツだなあ」
太郎がTシャツの袖を左右に引っ張って広げようとしたが、太郎にはそのTシャツを完全に広げることはできなかった。
「ねえ、たろにい、それ着てみてよ」
優美はそう言うと、太郎からTシャツを取り上げて太郎の頭からTシャツをかぶせた。
「うわっ、ぷっ、な、何すんだ、優美っ!!」
明らかに太郎には大き過ぎるそのTシャツは、太郎の膝下まであり、半袖だというのに袖から腕を出すことができない。首周りが大き過ぎて肩からずり落ち、上半身がほとんど丸見えだ。それは幼児が体格のよい大人のTシャツを着ているようで、優美は思わず、ぷっと吹き出してしまった。
太郎はかあっと顔を赤くして、
「何だよ、優美! こんな馬鹿でかいTシャツを無理やり人に着せといて笑うなよ!」
と怒った。優美は笑いを引っ込めて、
「ごめんごめん、たろにい。でもそれ、優美が小さくて着れなくなったTシャツだよ」
と言った。
「ええっ、こっこれ、優美のTシャツなのかっ?! それも小さくて着れなくなったっ?!!」
と太郎が叫んだ瞬間、太郎の方からTシャツがずり落ちてすとんと太郎の足元に落ちてしまった。
優美はTシャツを拾い上げると、
「じゃ、着てみるから見ててよ」
とTシャツを広げて着始めた。太郎の頭も優々入りそうな袖に腕を通すと肘を通り過ぎた辺りで袖がぴちぴちになっている。無理やり腕を入れると、袖は限界まで引き伸ばされて何とか腕を通すことができた。優美が頭を突っ込むと頭は楽に入ったが、太郎の体はするりと通り抜けたのに、優美の太過ぎる首で首周りは裂けそうだ。優美はTシャツの裾をつかんで下に引っ張り、強引に着込むと、巨大な大胸筋で持ち上げられたTシャツは優美の上半身を包み切れずにごつごつした腹筋が丸出しになった。
「す、すごい……」
太郎は今日何度目かの感嘆を漏らした。太郎にとって大き過ぎるというよりもギミックのようなTシャツだったが、優美には本当に小さいではち切れる寸前だ。優美はにっこり微笑むと、
「たろにい、見ててよっ!」
と言って一息に体に力を入れた。優美の体がどむっと膨れ上がって一瞬、Tシャツは透き通るように薄く引き伸ばされた後、耐え切れなくなって、風船が破裂するようにはじけ飛んでしまった。
太郎はびっくりしてどすんと尻餅をついてしまった。優美は満足そうに太郎を見下ろし、両腕を上げて自分の頭よりも大きな力瘤を盛り上げると、
「どうお、たろにい、すごいでしょ!」
と自慢げに言った。

「じゃあ、トレーニングするから、たろにいも見ててね」
優美はそう言ってバーベルに向かった。
「俺、見ててもしょうがないからもう帰るよ」
太郎は内心のドキドキを隠してわざとそっけなく言った。
「えー、どうして〜? 優美の筋肉、見てくれるんじゃないの〜?」
優美は太郎の腕をつかんで引っ張りながら言った。
「何言ってるんだ、もう見ただろ?」
「ううん、そうじゃなくって、あのー、うーんと、トレーニングすると『ぱんくあっぷ』するんだって! 『ぱんくあっぷ』したら優美の筋肉がもっと大きくなるんだよ!」
「ばーか、それを言うんなら、『バルクアップ』、じゃなかった、『パンプアップ』だろ。さっき、力込めてTシャツ破ったからもうパンプアップしてるだろ?」
さすがにまだ小学四年生らしく、いまいち英語がわかっていないようで、舌足らずな発音だ。そういうところはかわいいいとこの女の子という感じである。
「そうそれ、『ぱんぷあっぷ』! 優美、トレーニングしたら筋肉がぐーんと大きく盛り上がるの! だからねっ、たろにい見てってよ!」
と言って、優美はポージングスーツのまま、太郎に抱きつき、抱きしめる。太郎の体は優美の筋肉にぐいぐい押し付けられ、巨大な鋼鉄筋肉バストに顔を歪められる。太過ぎる優美の腕に太郎の上体はすっぽり覆いつくされてコンクリートのような腹筋に押し込まれ、太郎の肋骨がミシミシと軋んだ。その上、太郎の脚も優美の大腿筋に挟み込まれて絞り込む。
「ぐええぇぇぇぇぇっ、ゆ、優美、わ、わかった、み、見ていくから……っ」
太郎は優美の筋肉に埋もれ潰されそうになりながら悲鳴を上げた。
「ほんと?! やったーっ!」
優美は太郎の体をぐいっと強烈に抱きしめた。
「ごがっ!」
太郎は奇妙な叫び声を上げたが優美には聞こえていないようで、鼻歌を歌いながら太郎を近くの椅子に下ろすとトレーニング器具の方へ歩いていった。
太郎はぐったりと椅子に座って優美のトレーニングをぼんやりと眺める。優美はいつになく真剣な表情でウェイトをつかんでトレーニングを始めた。それは太郎が見ても恐ろしく重量があるのがわかるほどで、小学生の女の子が使ってもいいウェイトではない。あんなので毎日トレーニングしてたら、優美のような筋肉になるのかもしれない。いやそれでも、そうおいそれと女の子が大人の男子ビルダー以上になるものか?!
太郎はぼーっとしながらそんあとりとめもないことを考えていた。
どのくらい時間がたったのだろうか。優美に抱きしめられた衝撃から太郎がようやく冷めたころ、太郎の方へ、ズシッズシッという何か象のように体重のあるものが歩いてくるような重低音が太郎に近づいてきた。太郎はびくっと体を震わせて床に落とした視線を上げられなくなった。視線を上げると得体の知れない恐ろしいものを目にしそうだ。ズシッズシッという音はどんどん太郎に近づいてくる。
太郎のすぐ横まで近づいたそれは。はあはあと荒い息を繰り返していた。床にぽたぽたと水の滴る気配。
「たろにい、居眠りしちゃったの?!」
近づいてきたそれは優美だった。太郎はほっとしてゆっくり顔を上げながら、
「い、いや、寝てたわけじゃなくて、ちょっとぼーっとしてた、がっ?!」
太郎の目に優美の体が入った途端、太郎は絶句してしまった。
太郎がボーっとしている間、たっぷりとトレーニングした優美は体中から大量の汗を流しててらてらと光っていた。汗をたくさん掻くのはいいとして、恐ろしいのはその筋肉だ。汗で光る筋肉は先ほど優美がTシャツを破って見せたときよりも優に二周りは巨大化し、優美ははち切れそうになっている!
すばらしく太い血管が筋肉の上に浮き出し、筋量のすさまじさを強調している。風船をぎりぎりまで膨らませたようなぴんと張り詰めた筋肉は何か爆発でもしそうでこわい。ありとあらゆる筋肉が膨張し、ギシギシと軋んだ。
「ゆ、優美かっ、優美なのかっ?!」
太郎は思わずそう言った。あまりにも桁外れのパンプアップに太郎にはさっきの優美と同一人物とは思えなかったのだ。
「たろにいてば、何言ってるの?! 優美に決まってるじゃない!」
筋肉の陰になっているが、顔は間違いなく優美だ。
太郎は優美の顔を見上げてたどたどしく頷いた。
「えへへ、どう?優美のパンプアップ? 筋肉さっきより大きくなったでしょ?」
大きくなりすぎだ。太郎は心の中でつぶやいた。Tシャツが引き裂けたときにもその柔軟性で無事だったボディビルポージング用スーツが巨大化した優美の筋肉でさらに引き伸ばされ、ピンッと張り詰めていて、今にも破れ散りそうだ。太郎はちょっとスーツに同情した。
「ほら、たろにいっ!」
優美は太郎の目の前で腕を曲げ始めた。力瘤を盛り上げる前から優美の上腕はすでに太郎の頭よりも大きいのに、腕を曲げていくにつれて、さらに筋肉が隆起し巨大化していく。ぐんっぐんっと腕中の筋肉が内から外へ突き出るように盛り上がり、太郎の目の前でとうとう太郎の倍以上まで大きくなってしまった。皮膚がぱんぱんになるほど盛り上がった筋肉の上にはドクン、ドクンという心臓の鼓動に合せて脈動する野太い血管が浮いている。
 呆然としている太郎にかまわず、優美は今度は脚を太郎のすぐ横に突き出し、ブルンブルンと大腿を揺さぶった。優美の脚は片方だけでも太郎の体全体よりも遥かに大きく、大腿で揺れている筋肉はまるで太郎が優美の脚にぶら下がって揺すぶられている、そのくらいの筋量は楽にあった。ぴたっと止めてぐっと力を込めると、ぐぐーっと大腿筋が膨れ上がり、瞬く間に太郎よりも大きくなる。優美は両腕を後頭部に当てて、
「ふっ!」
とひとつ息を吐き出し腹に力を入れた。くっきりときれいに並んだ腹筋がぽこぽこ膨らみ、こんもりと前に着き出始めた。太郎は優美の股に挟まれるようになっていたので、太郎の顔のすぐ下で、ぐっと突き出される腹筋がまるで同時に空気をつめられていく風船のように盛り上がっていく。腹筋だけではない。大胸筋ももこっもこっと筋量が増して大きくなる。小学四年生の女の子ならば普通は胸もちょこっと柔らかいふくらみがあるかどうか、といった程度であろうが、優美の胸は女の子の『胸』というよりも『大胸筋』と言う方が的確で、しかも並外れたバルクを持つ大胸筋だ。
優美はくるりと回って太郎に背中を向けると、両手を腰に当てて後背筋を広げていった。どんどん広がる優美の背中は逆三角形になり、さらに広がり続けて後背筋が丸く見えるほどになった。背中にはさまざまな筋肉がお互いに存在を主張するかのようにみっしりと浮き出して、ごつごつした深い凹凸のある背中を形成している。まるで何かをまとっているようにさえ見える。
再び優美は正面を向き、左右のこぶしを腹の前で合せて体全体に一気に力を込める、いわゆるマスキュラーポーズをとった。このポーズは優美のようにすさまじい筋量のあるビルダーがとると迫力のあるポーズだ。優美の筋肉同士が押し合いへし合いし、ぎゅっぎゅぎゅうぅぅぅっとこすれ合ってわずかな隙間さえ、埋めていった。肩や首の筋肉も同時に盛り上がって優美のあごのすぐ下まで埋まり、さらに大胸筋も突き上げてきて、優美の唯一小学四年生の女の子らしいかわいい顔は自身の筋肉に埋没し出した。それでも筋肉の隆起はやまず、また優美も力を込め続けている。もうさんざんパンプアップしている上にいろいろポーズをとってさらに筋肉を隆起させているはずなのに、優美の体はまだ大きくなり足りないのか、膨張し続ける。太郎は我知らず後ろに下がるのだが、それに追いつくように優美の筋肉が迫る。
「ゆ、優美、まだ盛り上がるのか?」
太郎は恐る恐る優美を見上げて言った。優美は太郎を見下ろしてにっこり微笑み、
「もちろんよ、たろにい! いくよーっ!」
と、さらに力を込めていった。
ますます勢いよく盛り上がる優美の筋肉で優美の周囲は埋め尽くされていく。優美の体は前後左右に膨れて、太郎から優美の顔が見えなくなってきた。ミシミシと不気味な音を立てて筋肉同士がぶつかり合う。
優美の体のあちこちからギシギシという音がし出した。どうやらあまりの筋量増大に骨が軋んでいるようだ。それでも優美は力を込め続けた。ついに限界に達したのか、優美の体はびくっびくっと震えるだけでそれ以上、筋肉が盛り上がらなくなったが、優美は相変わらず、マスキュラーポーズをやめない。太郎はいぶかしく思いながら、少し下がって優美を見つめていると、優美の体全体が、ぐんと一回り大きくなってしまった!
優美の顔を見上げていた視線が上がり、優美が確実に巨大化したことを実感する。
太郎はあわあわと口を戦慄かせ、腰を抜かして尻餅をついた。
「す、すごい……」
太郎は今日三度目の感嘆を漏らした。どうやら優美はこんな風に日々成長を続けているらしい。これではどんどん大きくなるのも当然だ。このジムにはもっと巨体で巨筋を誇る女性が多数いるのを太郎は知っているが、身長に対する筋肉の比率では優美が一番ではないか、と思える。優美はそのくらい圧倒的な筋量になっているのだ。
優美は自分の筋肉に腰を抜かすほど驚いた太郎に気をよくしたらしく、にこっと笑って、
「へっへー、すごいでしょ、優美の筋肉っ! よーし、今年はもっともっと『ぱんぷあっぷ』、『ばるくあっぷ』してパワーアップするぞーっ!」
と高らかに宣言した。
太郎は、
「あれ以上、パワーアップするつもりか……」
と大量の冷や汗を流すのだった。

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